9月18日(金)

●ロビーは大賑わい

今日は実質キャンプ最後の日である。日程は明日までだが、明日はゲームのみで、終わったらすぐプレシーズン・ゲームのために、バンクーバーに帰らなければならないのだ。なんという強行スケジュールだろう。

リンクサイドでは、下の写真のように、選手たちにサインをもらえる。うまくつかまえれば、写真も一緒にとってもらえる。しかし今年は、このロビーを通るのは、自分の車で来ていない若手の選手だけだ。それでもご覧の通りの人気である。

●追っかけギャルの実態

このタイトルを見て「へえ〜」と思った人もいるだろう。私も驚いた。ここである人に会うまでは・・・。NHLにはそういうファンはいないだろうと思っていたのだが・・・。

仮にその人を「オツさん」と呼ぼう(「おっさん」ではない)。彼女は元ミュージシャンの追っかけ。その世界では、自分たちのことを「オツ」と呼ぶんだそうだ。正真正銘の日本人だが、英語が完璧にぺらぺらなところが私らとは違う。それが強みで、選手とお近づきになるのもカンタンらしい。

最初の出会いは15日。私たちが報道陣エリアに入れた日である。選手が少なくなって、セキュリティの監視がゆるんだすきに、彼女は柵の外から入ってきて、私たちに話しかけてきた。来たくて来たくてウズウズしていたらしい。私たちは“そこにいるのを許された人間”だったから、ちょっと鼻高々だったのだが、とある大物独身選手が通りかかって、彼女に向かって「ハーイ、◯◯◯」と彼女の名前を呼んだ時には、そんな鼻は瞬時にへし折れてしまった。「な、なにこの人ぉ!? いったいナニモノォ???」

事情を話すととーっても長くなってしまうので、かいつまんで書くが、その大物選手とは、カナックスが日本に来た時、ホテルのロビーで待っていて話しかけたのがきっかけだそうだ。話しているうちに「きみ、マッサージできる?」と聞かれ、彼女は得意なので、部屋に行ってしてあげたとか・・・。もうこれだけで息が止まりそうな話である。
あくまでもオツさんサイドからしか聞いてない話で、彼女は「それだけでなにもなかった」と言っているが・・・
その後、オツさんは、先シーズン中に3ヵ月ほどバンクーバーに滞在して、エイトリンクスに練習を見に行き、その駐車場で選手を待ち、GMプレイスの選手の駐車場出入口でも、試合や練習の前後に選手を待つという生活を続けていたため、より覚えられたらしい。その大物選手だけでなく、他の選手にももう顔を覚えられているようだ。それだけ行ってりゃ無理もない。

オツさんは、そうこうしている間にカナダ人の追っかけの女の子たちと知り合い(後でわかったことだが、そういう場所にはいつも固定メンバーがいる)、今回は彼女たちとウィスラーに来ているそうである。
その子たちがまたすごい。タイトルにギャルと書いてしまったが、ギャル風なのはオツさんだけで、彼女たちはあんまりしゃれっ気もないごくフツーの子。中にはじみ〜であんまり目立たない感じの子もいる。女の子といっても25〜26歳で、3人のカナダ人のうち、1人は結婚しているのだ。

別に結婚しているからといって、熱烈な追っかけになってはいけない、なんてヤボなことは言わない。が、ホテルの選手の部屋に入り込んで、ベッドルームで何かしているとなると話は別である。しかもキャンプの真っ最中に、だ。
オツさんからその話を聞いた時は、仰天してしまった。しかし幸いなことに、相手はシラキュースから来た若い選手で、カナックスの選手ではなかった。
どういうヤツかと後で見てみたが、さもありなん、という感じ。若いのに体はぽよぽよ。全然締まっていない。夜の不節制な生活が、そのまま体型に現われているという感じ。こういうヤツがNHLに上がって来られるわけがない。プロスポーツの世界はもっと厳しいのだ。一流の選手ほどきちんと自己管理し、ストイックな生活をおくっているものなのである。

既婚の彼女のほうは、もうダンナとは別れるとかで(よくある話)その選手にゾッコンなのだが(彼には「もう離婚した」と言ってあるそう)、その選手のほうは、キャンプの後はシラキュース(NY)に帰ることが分かっているから、遊んでいるのが見え見え。なのに彼女は、いつもロビーで彼を待ち、夜会う約束をしている。それもたぶん今日が最後。マイナーリーグから来た若手の選手たちは、今日で帰される人が多いのだ。

その後、“やっぱり”彼のほうから別れたのであるが、それでも彼女はめげずに、ゲームがある日は必ず、もう一人の子と一緒に、GMプレイスの駐車場出入口にたたずんでいるのである。誰を待っているかって? 結局、誰でもいいみたいで、見せてくれたコレクション・ファイルには、NHLだけでなくNBAや野球の選手のサイン入りカードもぎっしり。ホッケーだけにも限らない、というわけである。
面白いことに、彼女たちはゲームはほとんど見ないのだ。これは非常に不思議。確かに毎回見るのは高いけど、11ゲームパックのいちばん安いのならC$250である。代々木のゲーム2日分だ。単発で買ったってC$30からある。選手が好きなら、ゲームだって見たくなるだろうに、と思うのだが…。

オツさんのほうは、自称その大物選手“一筋”である。ウィスラーでは、チャンスを見つけてはせっせと話しかけていた。
いくらヘディカンのファンでも、私にはここまでできない。せいぜいサインを頼んで、一緒に写真を撮ってもらうくらいである。あとはゲームで声援するのみ。結局ホッケーが好きだから、ゲームを見るのが楽しくて、練習を見るのも面白くて、プレーやプレー以外のところで心を打たれる何かがあると特にその人のファンになったりするわけだが、オツさんたちは何かがちょっと違うらしい。順序が逆なのか…? どうもオツさんたちの世界は、私にはよくわからない。

To be continued...

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