Canucks Fan: Game Results

1月30日(日)
シカゴ・ブラックホークス 1-3

きゃ〜、マッケイブ〜〜〜!!

今日はシカゴ戦である。ブライアン・マッケイブが戻ってくるのだ。しかも観戦日。私はいつものようにウォーミング・アップから見たのだが、いつもと違って相手チーム側のベンチ横に座っていた。

ウォーミング・アップが始まる前に、意外な人にあった。オツさんである(オツさんについてご存じない方は、イベントページのウィスラーキャンプの項へどうぞ)。その後、風の噂でワーキングホリデー・ビザを取ってバンクーバーに来たとは聞いていたが、ここで会おうとは・・・。
でも何故シカゴ側なんだろう? 彼女は、カナックスの大物選手の熱烈な追っかけだったはず。「彼に一途で一筋」とか言って、彼の近くにいたいがためにバンクーバーに来たのに、今はガラスに貼りつかんばかりにブラックホークスの選手の登場を待っている。どうして???
一瞬、目が合ったので、ニコッと笑って手を振ったら、オツさんの顔がこわばってしまった。一応、笑顔を返そうとはしたのだが、その表情も引きつったまま、すぐ目線をそらせてしまった。何か後ろめたいことがあるんだろうか。

気がつくと、シカゴ側にもかなりのファンが待っている。マッケイブのカナックス時代のジャージを着た人も多い。いい奴だったもんなあ、マッケイブ。私のお気に入りの一人だった。

さあ、選手たちが出てきたぞおー。あっ、マッケイブだ。相変わらず、ヤンチャ坊主のような顔。でも、髪はカナックス時代と違って、さっぱり短くカットしている。付けている番号は、以前の4番がゾロ目になって44番だ。
ダグ・ギルモア、トニー・アモンテなどお馴染みのプレーヤーたちが登場。こんなに有名選手がいっぱいいるのに、カナックスと同じディビジョン最下位なんて信じられない。そう、今日は最下位同士の対戦なのである。

練習を目で追っていると、見覚えのある顔が飛び込んできた。スティーブ・サリバン。元メープルリーフスの選手で、昨年の観戦ツアーで印象的だった小柄なセンターである。
エアカナダセンターでのこと。観戦していた私たちの目の前で、アリン・マコーリーという若いプレーヤーが、相手選手のチェックを受けて脳震盪を起こし、15分近く動くことができず、首を固定されたままストレッチャーで運ばれていくという事件が起きた。マコーリーの親友で、最後まで彼の手を握って励まし続けていたのがサリバンだったのだ。
その後、チームにセンターが増え過ぎたため、ポジションがなくなり、ウェイバー(ある一定期間、チームが選手の保有権を放棄し、その期間に他のNHLチームが名乗りを上げればその選手はNHLに残れるが、そうでなければマイナーリーグ行きになる)に出されていたのだが、シカゴからお声がかかったというわけだ。親友のマコーリーと離れてしまったのは残念だったろうけど、こうして元気に滑っている姿を見られてうれしかった。

もう一人、とある選手を見つけて納得。オイラーズから来たディーン・マキャモンドというプレーヤーで、そういえばオツさんは彼もいいとか言って騒いでいたっけ。ってことは、今では彼の追っかけをやっているのだろうか? 私と目線を合わせられなかったのは、そんなことからなのかも・・・。

練習を半分見て、あとの半分はカナックスの方に行った。やっぱり、彼らの様子を見ておかないと落ち着かない。
久々の生モギルニー。今日もロシアン・ラインで頑張ってほしいものだ。マーカス・ナスランド。主力選手の中で、唯一、彼だけがケガをしていない。ずっと出ずっぱりで、疲れていないだろうか? このままシーズン最後までケガなくがんばってほしいけど。

練習終了のブザーが鳴る。ふと見ると、マッケイブがファンの子にパックを投げてやっていた。やっぱりいい奴だなあ…。(ちなみに、アモンテも投げていた)

第1ピリオド。とにかくパスが下手である。素人の私が見てもそう思う。相手を全然見ないでパスを出しているから、ブラックホークスの選手にとられてばかり。
ただ、ゴーリーのNo.30ガース・スノウはいい動きを見せており、いけるかな?と思った1ピリだったが・・・。

第2ピリオドに入ってまもなく、メシエからのパスを受けて、ナスランドがネット前で倒れ込みながらのゴール。ゴーリーとポールのわずかなすき間にパックが飛び込んだ。カナックス1-0のリードである。

しかし、後半に入ってブラックホークスに1点取られ同点に。
続いてシカゴの2点目。上記のサリバンのコーナーからのロング・ショットが決まる。この時、一度止めたパックがもれて、ゆるゆるとゴールラインへ・・・。あーっあーっと言っている間に、ラインを超えてしまった。くやしい〜〜〜っ! パックがゆっくりゴールラインを超える様を見るのは、スコーンと決まったゴールより、何倍も悔しいものである。

早くも1-2と逆転されてしまい、それでもまだブラックホークスの勢いは止まらなかった。
終盤、シカゴの3点目。これは完全にエド・ジョバノフスキーのミスだった。攻めてきたブラックホークスの選手2人の間に彼はいた。そして、相手チームのパスは運良くジョバノフスキーの真ん前に。そこで彼がしっかりパックを止めるかと思いきや、その気がなさそうにスティックがパックに触れただけで、そのままパックはもう一人のブラックホークスの選手に渡ってしまった。ジョバの後ろにディフェンスマンはいない。かくして、ブラックホークスに難無く3点目を取られてしまったのだった。GMプレイスはブーイングの嵐。ジョバノフスキー、ちょっと腑甲斐ない。ゲーム後のインタビューでは、まるで親に叱られた子供のようにシュンとなっていた。

このあと、2ピリ最後のフェイスオフだったが、なんと選手たちが構えているところに、ドサッと魚が1匹投げ入れられた。どこかのリンクでは恒例らしいが、GMプレイスでは珍しい。中央スクリーンには、メシエのむっとした顔。
この時の私と相棒の会話:「けっこう大きい魚だよ。何だろう? 高いよねえ、きっと」「焼いて食べたら美味しそうデス」 後で聞いたらサーモンだったって。でも、投げ入れたくなる状況になったからいいけど(本当はよくない)、これがカナックス絶好調のいいゲーム展開だったら、どうしたんだろう? 冷蔵しておかなければ、鮮度が落ちて食べられなくなると思うんだけど…。

2ピリ終了のブザーとともに、なんと会場から大ブーイングが起こった。こんなこと、初めてだ。実は私もしていたんだけど・・・。

第3ピリオド、途中でマット・クークがすごいファイト。得点できないため、選手もフラストレーションがたまってきている。それは、会場の私たちも同じ。ファンのヤジ(ったって励ましのヤジなんだけど)の声も一段と大きくなり、真後ろのにーちゃんのデカイ声は、まるで私の頭の後ろに最大ボリュームのスピーカーを置かれているような感じだ。

隣の女性も賑やかだった。モギルニーが2on2でパックを運んでいた絶好のチャンス、ディフェンスには隙があったので、誰もがそのままシュートすると思ったら、モギルニーは隣にパスしてしまった。会場から一斉にもれる落胆のため息。隣の女性が叫んだ。「アレックス・モギルニー!! パスじゃなくて、あんたがシュートするのよっ!!」
私も思わず「I agree with you !!」と言ってしまった。
今日はNo.44対No.44(バーツッジ対マッケイブ)の小競り合いもけっこう見られたのだが、彼女はやはり叫んでいた。「あなたたち! 前はベストフレンドだったでしょ!?」

フラストレーションが溜まりに溜まった終盤近く、さすがにエース・プレーヤーたちも切れ易くなっているようである。モギルニー対サリバン、ナスランド対ミロノフ、という珍しいファイト。すぐさまメシエまでかけつけて来た。

大きなファイトにはならなかったが、ふと気がつくと、フェンスの下のほうにシカゴのゴーリー、ジョセリン・ティボーが倒れたままになっている。昨日ケガをしたカナディアンズのトレント・マクリアリーのことがちらついた。

スポーツニュースで見たマクリアリーがケガした瞬間の映像は、恐ろしさに震えるほどショッキングなものだった。相手選手が放った満身のショットを、彼はわずか3メートルほどの距離で、まともに喉に受けてしまった。つまり、パックはほとんどフルパワーの状態だった。
うつ伏せに倒れ、苦しさに足をバタバタさせるマクリアリー。トレーナーやチームメイトに抱えられてようやく立ち上がったが、顔は苦しさにゆがみ、今にも倒れるのではないかと思うほど。だいいち、呼吸ができているのかどうか・・・。
直後の発表では、内出血して肺に血液が溜まっているとのことで、緊急手術が行なわれたらしい。その後、2度目の手術が行なわれ、生命の危険は免れたが、全治6ヵ月だそう。まだ声を出すことができず、チームメイト宛に書いたたどたどしい筆跡のメッセージには、涙をさそわれた。

6ヵ月後、マクリアリーは再びプレーをすることは可能だが、以前とは違う声になっているそうだ。いったいどんな声になるかって?
なんと、たまたま今日の対戦相手のブラックホークスに、まったく同じ体験をしたプレーヤーがいた。名前は忘れてしまったが、ゲーム後、彼へのインタビュー映像が入った。その声を聞いたとたん、私はまた身震いがしてしまった。
彼の声は、声と言うより空気がもれる音に近いのだ。ひどい風邪をひいて、へんとう腺がはれあがり、喉を通る空気だけでやっと出しているかすれ声---そんな声なのである。そして、さらに恐ろしいことに、話の途中で息を吸う時に、ダースベイダーの呼吸のような音が聞こえるのだ。彼の喉には、手術跡らしい4cmほどの横一直線の筋が見えた。
声を聞いているととても苦しそうで(実際は苦しくないのかもしれないが)、よくあんな激しいスポーツが続けられるなぁと思ってしまった。
マクリアリーもあのような声になってしまうらしい。

心配していたティボーは、脳震盪だったようだ。数分後に立ち上がりネットに戻ったが、まだ少しおかしい様子。なぜゴーリーを交替しないのか不思議だった。
結局、その後もカナックスは得点できず、1-3でゲーム終了となった。

ゲームはこんなだったけど、一ついいこともあった。
最初のインターミッションで、いつも通り、子供のホッケーチームが出てきた・・・と思ったら、今日は大人のチームのようだ。でも、何かがちょっと違う。まず、ジャージの下にあまり防具を付けていない。それに、一人の選手がゴーリーをネットまで連れて行っている。

その時、中央の電光掲示板に「BLIND HOCKEY ASSOCIATION」の文字が現われた。そう、彼らは視覚障害者のチームなのだ。リンク内でプレーしている人たちは少し見える様子で、ゴーリーはたぶん全盲の人と思われる。パックの中にはベルのような物が仕込まれ、常に音が出るようになっている。ゴーリーは、この音だけを頼りにパックを防ぐのだ。こういうチームがあることは知っていたが、観戦するのは初めてだった。5分ほどのゲームが終わった後、会場からは惜しみない拍手が送られていた。

日本と違って、カナダではこういうチームの存在は珍しいことではない。社会全体が、障害者にとって住みやすくできていると言えるかもしれない。
実は今、仕事の一環で、車椅子で留学できる情報を集めているところである。バンクーバーでは、学校の受け入れはもちろん、ホームステイもできるし、アウトドア・アクティビティへの参加も可能なのだ。みなさんのお友達や知り合いで、車椅子で語学留学したい人がいたら、ぜひご連絡いただきたい。

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