Canucks Fan: Game Results

2月21日(月)
ボストン・ブルーインズ 5-2

終了間際に戦慄の出来事が…

せっかく5-2と快勝したゲームだったのに、終了3秒前にとんでもないことが起こり、メンバーも報道陣もファンも凍り付いてしまった。

今日のカナックスは、最初からずっとリードしていた。第1ピリオドでは一挙に4点入れ、4-0とブルーインズを引き離す。第2ピリオドでブルーインズに1点とられたが、また1点取り返している。
ゴールは、1ピリでナスランド(PP アシスト:カッセルズ、オーランド)、ハウグッド(メシエ、クラット)、クーク(ドルーケン、ストラドウィック)、バーツッジ(カッセルズ)、2ピリでバーツッジ(ヘンドリクソン、カッセルズ)。

“事件”が起こったのは、3ピリの残り2.7秒の時だった。カナックス・ゾーンで、ドナルド・ブラッシャーがパックを追ってゴール方面へ行きかけた時、ブルーインズのディフェンスマン、マーティー・マクソーリーが、後ろからブラッシャーの右側頭部をスティックで殴ったのである。ブラッシャーは仰向けにリンクに倒れた。

恐ろしかったのは、私が画面を見た時、ブラッシャーの頭からヘルメットが脱げていたことだ。いつの時点で脱げたのか、この時は分からなかったが、もし殴られた時にヘルメットが脱げ、その後、仰向けに倒れたとしたら・・・。考えるだに恐ろしかった。

ブラッシャーは倒れたまま動かない。彼の頭は、リンクから5cmほど浮いた状態で、硬直しているように見える。意識があるかどうかは分からない。駆け寄って、彼を取り囲むトレーナーと医師たち。

リンクのこちら側では、大乱闘が始まっていた。カナックスの誰かがマクソーリーを追いかけ、そこに止めようとしたレフェリー二人が重なって、ブルーインズのゴール横に小さい山ができていた。いちばん下にはマクソーリーがいるはずだが、あとは誰だか分からない。争いがやや静まり、レフェリーが身体を起こした時、下から出てきたのは、ガース・スノウとマレー・バロンだった。今日のゴーリーだったスノウは、なんとカナックスのゴールからリンクを突っ切って、マクソーリーに突進していったのだ。

その頃、ブラッシャーの様子は深刻さを極めていた。彼はまだ同じ状態で、氷の上に横たわっている。その回りを、6人ほどの医療スタッフが囲んでいた。その人たちの間から見えるブラッシャーは、目を閉じ、鼻血を流していた。手が宙を泳ぐように動いているが、小刻みに震えているように見える。

やっとビデオのリプレイが流れた。一部始終はこうだった。
マクソーリーが後ろからブラッシャーの右耳辺りを殴った時、ヘルメットは半分脱げかけ、ブラッシャーはこの時点で一瞬意識を失ったようだった。仰向けに倒れた時、ヘルメットはかろうじて彼の頭と氷の間にとどまっていたが、氷にあたった衝撃で完全に脱げて吹っ飛んだ。そのあと、ブラッシャーは頭を浮かせたままで、心配したような後頭部をリンクに強打するようなことはなかったのが、せめてもの救いだった。私には、彼の本能が危険を避けるために、その状態で身体を硬直させたように思えてならなかった。

医師たちは、ブラッシャーの頭と首を、固定具を使って動かないようにしていた。 リンク上では、乱闘が抑えられ、マクソーリーはレフェリーにうながされて退場。観客からはブーイングが起こり、物が投げられている。
やがて、2.7秒を残したまま、ゲームを終了させるブザーが鳴った。こんなことは初めてだ。ただの乱闘だったら、たとえ残りが1秒だろうとも、おさまってからゲームを続行するのだが、この事態では続けることができなかった。

ストレッチャーが運ばれてきて、ブラッシャーの身体は注意深くその上に乗せられた。カナックスの面々が、まわりに集まって来ている。みんな口々に励ましの声をかけているようだ。ブラッシャーの足に触ったり、手を握ったり、スティックで氷をたたいたりしている。
ストレッチャーはチームメイトの輪を離れ、ゆっくりとリンクの外に運ばれていった。

どうして、こんなことになってしまったのか・・・。
実は、伏線がゲームの最初の頃にあった。1ピリ開始2分で、ブラッシャーとマクソーリーはファイトをやらかしていたのである。どっちが仕掛けたのか分からないが、先にヘルメットが脱げたマクソーリーの頭に、ブラッシャーが何度もパンチを入れ、最後には組み伏していた。これを恨みに思っていたのは明らかだ。

このゲームではケガが相次いでいた。ストレッチャーの出動は、これで2回目だったのだ。1回目は、1ピリ後半、ブルーインズのゴール前で、ブルーインズのディフェンスマンとブラッシャーが絡み合うような形で後ろに倒れ、運悪くゴーリーのバイロン・デフォーの上に倒れてしまったのである。デフォーは右膝をケガして、ストレッチャーで運ばれた。これは完全にアクシデントだったので、このことでブラッシャーを恨んでいたとは思えないが、ブラッシャーに重ねて起こっていたことが、何かの前ぶれのようで、不気味な気がする。

もう一人のケガ人は、今日2ゴールを決めたトッド・バーツッジだ。
2ピリ後半、ブルーインズの選手とぶつかった後、顔を歪めて両手のグローブをはずし、右手で左手の親指の付け根を押さえた。その映像をよーく見ると、なんと左手の親指が短いではないか! 第一関節(だったっけ? 指先に近いほうの関節)を脱臼したらしいのである。第一関節のところに段ができていているように見え、その分指が短くなっていたのだ。映像を思い出しただけで、キーボードを打つ指から力が抜けてしまう。
その後、ゲームには戻れなかったが、ケガは幸いにもたいしたことはなかったらしく、ゲーム後のインタビューにも応えていたし、明日の練習には参加するそうだ。

夜のスポーツニュースは、マクソーリーの事件の話で持ち切りだった。
ゲーム直後にGMプレイスから中継していたキャスターは、顔面蒼白で「スティックを武器として使った」と「武器」という言葉を何度も繰り返していた。彼も目のあたりにしたであろうこの事件のショックが、顔にありありと出ていた。

ドレッシング・ルームでインタビューを受けたナスランドも、ショックを隠せない様子だった。彼は、ブラッシャーの元へ最も早く駆けつけたチームメイトの一人だった。
「まず、彼の生命のことを心配した。彼はスティックで殴られたあと、頭を打っていたから」
スノウ、メイ、バーツッジは、インタビューに応えて「こんなにひどいシーンは今まで見たことがない」と語っていた。
ヘッドコーチのマーク・クロフォードも「卑劣な行為。私は胃がむかついた」と話している。

少し違った面持ちだったのはマーク・メシエだった。マクソーリーは、36歳のベテランで、かつてはオイラーズで共にスタンレーカップを獲ったチームメイトだったのである。
「本当にひどいことだ。私は彼(マクソーリー)がドナルドを殴るところを目撃したし、ドナルドが倒れるところも見た。とにかく一刻も早く医師に来てほしかった」
「ドナルドが横たわっているのを見るのは、本当につらかった。誰もが今、ショックを受けている」

カナックスにとっては久々にすごくいいゲームだったのに、終了後はまるでお葬式のような重苦しい雰囲気になってしまった。

さて、その後のブラッシャーの容体であるが、幸いなことにずっと意識はあったそうで、病院に行く時は、自分で歩いてGMプレイスから出たそうである。その後の発表では、2週間の欠場だけでゲームに復帰できるとのこと。本当によかった。

ブラッシャーは運が良かったから大事に至らずにすんだが、この件がNHL関係者に与えた衝撃は大きかった。バンクーバーでは、警察が捜査に乗り出すという話も聞かれている。続報は、またニュースページでお伝えしよう。

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