2000年2月6日、トロントで第50回NHLオールスター・ゲームが開催された。
今回はニューミレニアム最初の、そしてちょうど50回目という記念のオールスターである。私は初めてオールスター観戦ツアーなるものに参加したが、いやあ何だかいろいろあって、今だに思い出すと目がまわるようだ。
ゲームやスーパースキルズの結果は、もうみなさんご存じだと思うので、表には現われないツアーの内幕を中心にリポートしよう。

●トロント到着

上空から見たトロントの街は、うっすらと雪に覆われていた。
「うわ〜、寒そう〜〜〜」
寒いのが苦手な私は、見ただけで身震いがする。雨は多いが、バンクーバーのほうがずっと温暖だ。
実は今回のツアーのために、防寒具をいろいろ用意した。私は伝統的な日本人体型のため、帽子は絶望的に似合わないのだが、それでもあえて買った。だって、バンクーバーでも、夜、外を歩くと頭がジーンと痛くなるほど寒かったんだもん。トロントだったらもっと寒いはず、頭痛でゲームが見られなくなったら大変、と思ったのだ。

空港から一歩外にでると、寒さがじわ〜っと全身を包み込む。ダウンタウンに行くバスを待ちながら周りを見渡すと、おおジャージを着ている人が結構いるではないか! みんなオールスターを見に来たんだな。私もだぞ〜っ!と思ったら、ちょっとウキウキしてきた。これからトロントという巨大なお祭り会場に乗り込んでいく気分だ。

●みなさんとごたいめ〜ん

日本から来るツアーのみなさんは、なんと3グループに分かれてくるという。出発地の関係で、到着時間もバラバラなのだ。成田から来るグループより一足早く着いた私は、チェックインのお手伝いをするために、ヒルトン・ホテルのロビーで待っていた。私の宿泊ホテルは、ここから徒歩で5分程のところにある。

天下のヒルトン‥‥と言いたいところだが、この時のヒルトンは悲惨だった。1階全体が改修工事中で、たぶんこれがウリなのだろうと思われる天井が高そうな広〜いロビーは、ほとんどベニヤに覆われ、すき間から覗いてそのゴーカさを想像することしかできない。フロントデスクもエレベーターホールもショップも、ベニヤで囲まれた“通路”でつながっているだけ。私など、フロントデスク前の狭いスペースに置かれた2つの椅子(ソファではない)を見て、ここがロビーか?と思い、ウロウロ探し回ってしまったほどだ。
オールスターはトロントにとっても大きなイベントなのだし、今回はヒルトン宿泊とゲームのパッケージで売り出されているのだから(たぶん1年前から)、ちゃんと改修工事を間に合わせればいいのに!と思ってしまった。日本だったら考えられないことだ。
どうもカナダ人は、こういう感覚が希薄らしい。だからカナダの産業・経済はなかなか活性化しないんだ、とはこちらにいる日本人がよく口にすることだが・・・。

それにしても、せっかくヒルトンに泊まるのに、このロビーでは何だかみなさんがお気の毒。だって、いいホテルに泊まる醍醐味の一つは、一歩ゴージャスなロビーに入った時の「うわぁ〜〜〜」という驚きと、「これから3日間ここに泊まるんだぞ〜。へっへっへー。」という何とも言えない優越感にあるのだ。
でも、このロビーでは・・・

やがて成田からのご一行が到着〜!!
昨年のツアーで会ったIさん、Hさんと懐かしい再会。そして「カナックス・ファン」の読者であるCさんとは初めてお会いした。メールでよくおしゃべりしている人と初めて会う時は、電話と違って声を聞いていないせいか、いつも不思議な感覚である。全然知らない人のような、よーく知っている人のような・・・。

しかし、ここでしみじみ感慨にふけっている暇はなかった。スケジュールが詰まりに詰まったこのツアー、買い物をしたいなら、今日の夜から動きまわらなければならないからだ。トロントの知人にも案内役として来てもらい、女性6人は、推定−20℃の夜の街に繰り出して行った。
ホテルから出た瞬間は「なんだ、そんなに寒くないや」と思うのだが、しばらく歩いているとジンジンと冷えてくる。やっぱり、帽子を持ってきてよかった。

ここで一句。
「“似合う”とか “似合わない”より 必需品」

●レセプションってこういうものだったんだ・・・

このツアーには、オールスター・ゲーム観戦だけでなく、関連イベントへの参加がすべて費用に含まれている。その目玉の一つが、ゲーム前日の5日に行なわれた2つのレセプションだった。
レセプション。ちょっと心をくすぐられる響きだが、実は今回、出発前から正確な情報が全くつかめなかったのが、このレセプションだった。

私は、フレームスが日本に行った時のカナダ大使館でのレセプションの様子を知っていたので、「レセプション? ああ、きちんとした格好をしなけりゃね」と思っていたのだ。そこで、ページ内に何気なく「フォーマル・ウェアのご用意を」なんて書いてしまったのだが、これが何やら大変なことに・・・。

そもそも、カジュアルな国カナダに長く居すぎてしまった私の意識では、「フォーマル・ウェア=ちゃんとした格好」だったのだが、日本で「フォーマル・ウェア」と言えば、大半の人がロングドレスとタキシードを思い浮かべるということを、すっかり忘れていた。

それでも、詳細は後で主催者側から知らされるだろうと思っていたのだが、いつまでたってもそんな連絡はなく、スケジュール表すら送られてこない。しかし、レセプションの内容が分からなければ、服装計画がたてられず、荷造りができないのだ。
業を煮やして、問い合わせること数回。私があらかじめ選択肢を書いて、担当者が該当しないものを消去するという方法でやっと得られた回答は:
『・ジャケットを着用したほうがよい(カジュアルなスポーツジャケットなどでもいいと思います)   
 ・ネクタイはしなくてもよい
 ・ジーパンは避けたほうがよい 
 ・スニーカーでもよいが、あまりにも思いっきり運動用はちょっとという感じですね。』
というものだった。
私は黒のパンツを買いに行き、それ用の靴とジャケットをスーツケースに詰めたのであるが・・・

5日午前のレセプション会場であるHockey Hall of Fame(ホッケーの殿堂)に行ってみて唖然。入口前に並んでいる人は、ほとんどジャージ姿なのである。当然、ジャケットは着用しておらず、下はほとんどジーパンで、思いっきり運動靴、という出で立ち。おいおい、話が違うじゃないか・・・。

ここで初めて知ったのだが、このレセプションは、オールスターでホテル+ゲームのパッケージを発売しているROADTRIPSという大きなツアー会社が主催だった。日本の旅行会社はこのROADTRIPSと提携して、ツアーを送り出しているらしい。ROADTRIPSはウィニペグの会社で、おそらくカナダ全土から、相当数の客を集客しているはずだ。

つまり、このレセプションとは、NHL関連の公式レセプションに我々が特別に参加できるという類のものではなく、最初からこのROADTRIPSの客のためにつくられた単なるイベントだったのだ。出席者のほとんどは、カジュアルが得意な北米の旅行者ばかり。どうりでみんなジャージなわけだ。
レセプションという甘美な響きから期待されるものは、結局何も登場せず、午前のレセプションに至っては、グラス1杯の水すら出なかった。まあ、会場が会場だから、仕方がないんだけど・・・。

なかには“ちゃんとした格好”の人もいたので、ジャケットを着ているからといって特に浮くこともなかったが、これがなければ荷物はもっと少なかったのだ。それに、自分のことよりも、日本からわざわざジャケットをタイを持ってこられたTさんには、たいへん申し訳ないことをしたと思っている。
さすがのジェームスさんも、レセプションがこのようなものとは知らなかったようだ。それに、ちょうどツアー前が二世誕生の直前でもあったので、それどころではなかったらしい。

服装にはショックを受けたが、内容はまあまあだった。
午前のレセプションには、OBのトニー・エスポジト、マイク・ボッシー、ラニー・マクドナルド、ダリル・シトラーがゲストで来ており、ネームプレートが置かれたテーブルに座っている。客はそこに並んで、サインをもらったり、写真を一緒に撮ってもらえたりする。私は入口でもらったミニ・スティックにサインをもらった。このツアー、お土産類はけっこう豊富である。
しかし、サインをもらってしまえば、あとは特に何があるという訳ではなく、みんなHockey Hall of Fameの中を見学して、ショップで買い物をして、三々五々帰るという状況。午後のレセプションも、どうやらこんな感じらしい。

そこで、またしても一句。
「レセプション ふたを開ければ サイン会」

To be continued ‥‥

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